この記事の結論
- 2階と最上階だけ暑いのは、屋根から入る熱が原因のことがあります。真夏の屋根の表面温度は60〜70度に達します。
- 対策は、遮熱塗装・断熱材一体型の屋根材へのカバー/葺き替え・小屋裏の換気・天井断熱の4つです。
- 正直に言うと、劇的に涼しくなるわけではありません。期待していただきたいのは、エアコンの効きが早くなること、夜の寝苦しさが和らぐこと、1階との温度差が縮まることです。
- 工事の時期は、屋根の表面温度が上がりきらない春または秋が向いています。
「1階は涼しいのに、2階に上がった瞬間モワッとする」「エアコンを付けてもなかなか下がらない」。夏になると必ずいただくご相談です。窓やカーテンを疑う方が多いのですが、2階と最上階の暑さの多くは、屋根から入ってくる熱が原因です。この記事では、屋根がどれくらい熱くなっているのか、屋根でできる対策4つ、そして正直なところどれくらい涼しくなるのかをまとめました。
目次
なぜ2階と最上階だけ暑いのか
理由は3つあります。
- 熱の入口が真上にある — 日射を最も長時間、最も強い角度で受けるのは屋根です。壁は時間帯によって日陰になりますが、屋根には逃げ場がありません
- 暖かい空気は上にたまる — 家全体で温まった空気は2階へ集まります。1階のエアコンをいくら強くしても、2階の暑さはあまり変わりません
- 屋根裏に熱がこもる — 屋根で受け取った熱は屋根裏(小屋裏)にたまり、天井を通じてじわじわ下りてきます。日が落ちてからも部屋が暑いのは、これが原因です
夜になっても2階が暑い、というのが屋根由来のいちばん分かりやすいサインです。窓からの日射だけが原因なら、日が沈めば収まるはずだからです。
真夏の屋根は60〜70度になります
私たちは毎日その屋根の上で作業していますが、気温が35度の日、屋根の表面はおおむね60〜70度まで上がります。手のひらを置いていられない温度です。スレートでも瓦でも、色が濃ければ濃いほど高くなります。
この熱は屋根材から下地へ伝わり、屋根裏の空気を温めます。断熱材が十分でない、あるいは屋根裏の空気が動いていない家では、夕方の小屋裏が50度近くになることも珍しくありません。その熱の下に、寝室があります。
つまり2階の暑さ対策とは、「入ってくる熱を減らす」「たまった熱を逃がす」「下りてくる熱を止める」の3つを考えることです。
暑くなりやすい屋根の特徴
次に当てはまる家は、屋根からの熱の影響を受けやすい傾向があります。
- 屋根の色が黒や濃いグレー — 濃い色ほど日射を吸収します
- スレートや金属屋根で、屋根裏の空間が狭い — 熱を受け止める空気の層が薄く、天井に伝わりやすくなります
- 築20年以上で、断熱材を触ったことがない — 古い断熱材は落ちたり潰れたりして、効いていないことがあります
- 屋根裏に換気口が見当たらない — 熱と湿気の出口がない状態です
- ロフトや勾配天井がある — 屋根裏の空気の層がなく、屋根の熱が直接部屋に届きます
特に見落とされやすいのが屋根裏の換気です。断熱材を厚くしても、こもった熱の逃げ場がなければ効果は半減します。
屋根でできる暑さ対策4つ
1. 遮熱塗料で塗り替える
日射を反射する塗料で屋根を塗り替える方法です。屋根の塗り替え時期が来ているなら、通常の塗料との差額だけで実施できるのが利点です。屋根そのものの寿命を延ばす工事と、暑さ対策を同時にできます。
ただし塗膜の反射性能は年数とともに落ちていきます。汚れが付くほど反射しなくなるためです。
2. 遮熱シートを入れる
屋根材の下や屋根裏側に、輻射熱を反射するアルミ系のシートを施工する方法です。当社ではサーモバリアを扱っています。塗料と違って汚れによる性能低下がなく、メーカー保証は10年です。
屋根材をめくる工事(カバー工法・葺き替え)と同時に行うのが最も効率的です。屋根裏に人が入れる家であれば、屋根を触らずに内側から施工できる場合もあります。
3. 断熱材を追加する
天井の上(屋根裏の床にあたる部分)に断熱材を敷き増しする方法です。既存の断熱材が薄い、潰れている、隙間があるという家では、これが最も費用対効果の高い対策になることがあります。
遮熱が「熱を入れない」対策なのに対し、断熱は「入った熱を通さない」対策です。役割が違うので、どちらか一方ではなく組み合わせるのが本来の形です。
4. 棟換気(むねかんき)を付ける
屋根のてっぺんに換気部材を入れて、屋根裏にたまった熱気を外へ抜く方法です。軒下から空気を入れ、棟から抜く流れをつくります。
暑さだけでなく、冬の結露対策としても効きます。屋根裏の湿気は下地の木部を傷める原因になるので、換気は年間を通じて意味のある工事です。
どれを選ぶかは、屋根材の残り寿命によって決まります。屋根がまだ持つなら塗装や屋根裏側の工事、寿命が近いならカバー工法や葺き替えのついでに遮熱を入れる——この判断を間違えなければ、無駄な出費になりません。屋根材の選び方は「屋根カバー工法と葺き替えの違い」も参考にしてください。
正直な話、どれくらい涼しくなるのか
ここは誇張したくないので、はっきり書きます。
遮熱工事で屋根の表面温度は大きく下がりますが、室温がそのまま同じだけ下がるわけではありません。屋根と室内のあいだには下地・屋根裏・断熱材・天井があり、それぞれが熱を減らしていくためです。室温の変化として体感できるのは数度の範囲、というのが実際のところです。
そのかわり、次のような変化のほうが日常では分かりやすいはずです。
- エアコンの効きはじめが早くなる — 設定温度に届くまでの時間が短くなります
- 日が落ちてからの寝苦しさが和らぐ — 屋根裏にためこむ熱の量が減るためです
- 1階と2階の温度差が縮まる — 家の中の移動が楽になります
「エアコンが要らなくなる」「室温が10度下がる」といった説明をする業者があれば、それは信用しないでください。屋根の遮熱は、暑さをゼロにする工事ではなく、入ってくる熱の量を減らす工事です。
費用の目安
建物の大きさや屋根の形で変わりますが、一般的な戸建て(屋根面積70〜100平方メートル程度)でのおおよその目安です。屋根の上で行う工事は足場が必要になり、その場合は別途20万円前後がかかります。
| 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 遮熱塗料での屋根塗り替え | 40万円〜80万円程度(足場別) |
| 遮熱シート(サーモバリア)の施工 | 15万円〜40万円程度 |
| 天井への断熱材の敷き増し | 10万円〜30万円程度 |
| 棟換気の設置 | 10万円〜25万円程度 |
| カバー工法+遮熱シート | 100万円〜180万円程度(足場別) |
金額だけを見ると塗装が安く見えますが、屋根材の寿命が残り数年なら、塗装代がまるごと無駄になります。まず屋根の残り寿命を確かめてから工事の種類を決めてください。
工事をする時期
暑さを感じている今がいちばん相談したくなる時期だと思います。ただ実際には、真夏の施工は屋根の表面温度が高く、職人の安全のために工程が短くなりがちです。塗装の場合は下地が高温すぎると塗料の乾きが早くなりすぎ、仕上がりに影響することもあります。
そのため当社では、急ぎでなければ9月以降の涼しくなった時期か、翌年の春の着工をおすすめしています。夏のあいだに点検と見積りを済ませておき、涼しくなってから工事に入るのが、いちばん無理のない進め方です。
点検のときに屋根材の傷み具合も一緒に確認できますので、「暑さのついでに屋根の状態も見てほしい」というご依頼で大丈夫です。
よくある質問
遮熱塗料を塗れば、エアコンなしで過ごせるようになりますか?
なりません。遮熱は「屋根が受け取る熱を減らす」対策で、室内を冷やす装置ではありません。体感として期待していただきたいのは、エアコンの効きが早くなること、日が落ちてからの寝苦しさが和らぐこと、2階と1階の温度差が縮まることです。「エアコンが不要になる」と説明する業者があれば、その説明を疑ってください。
今ある屋根を残したまま、暑さ対策はできますか?
できます。屋根の状態がまだ良ければ遮熱塗料での塗り替え、屋根裏に入れる場所があれば断熱材の追加や棟換気の設置が可能です。屋根材そのものの寿命が近い場合は、カバー工法や葺き替えのときに遮熱シートを一緒に入れるのが最も無駄がありません。
工事は夏でもできますか?
できますが、真夏の屋根の上は表面温度が60度を超え、職人の安全確保のために朝の早い時間帯を中心とした工程になります。塗装は下地の温度が高すぎると塗料の乾きが早くなりすぎ、仕上がりに影響することがあるため、施工時間の管理が必要です。急ぎでなければ9月以降か春をおすすめしています。
断熱のリフォームに補助金は使えますか?
断熱改修が対象になる制度はありますが、制度名・金額・申請期限は年度ごとに変わり、着工前の申請が条件になっているものが多くあります。工事を決める前にご相談ください。当社で最新の条件を確認してご案内します。
2階の暑さは、屋根を見れば原因の見当がつきます。キヨスホームは現地調査・お見積り無料、大阪府内・関西圏へお伺いします。工事が不要な状態であれば、そうお伝えします。
お電話(090-8536-9397・9:00-19:00 年中無休)でご相談ください。