この記事の結論

  • 空き家のリノベーション費用は、どこまで直すかで3段階に分かれます。住める状態に戻すだけなら50万〜150万円、水回りと内装を入れ替えると300万〜600万円、屋根・外壁まで含めると500万〜900万円程度が目安です(いずれも30坪前後の戸建て)。
  • この金額は平均的な目安です。建物の傷み方、土地の条件、残っている荷物の量で大きく変わります。同じ築40年でも、雨漏りを放っておいた家と、年に数回風を通していた家では、見積りが2倍違うこともあります。
  • 放っておくと税金が上がります。2023年12月の法改正で「管理不全空家」が新設され、自治体の勧告を受けると住宅用地の固定資産税の軽減(最大6分の1)が外れます。課税標準で見ると最大6倍です。
  • 大阪市には空家利活用改修補助(性能向上の改修に2分の1・上限75万円、耐震改修は上限115万円)があります。ただし屋根・外壁だけの工事は対象外で、契約・着工の前に区役所との事前協議が必要です。
  • 近畿は空き家が多い地域です。和歌山県の空き家率は21.2%で全国1位、大阪府内では西成区・生野区・柏原市が20%を超えています。キヨスホームは大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・滋賀の近畿全域に伺います。

「親が施設に入って、実家が空いたままになっている」「相続した家をどうするか、兄弟で決めかねている」。屋根や外壁のご相談で伺ったお宅で、こういうお話を聞くことが年々増えています。

空き家は、放っておいても何も起きないように見えて、実際には毎年少しずつ価値を失い、少しずつ出費が増えていくものです。この記事では、空き家をリノベーションして「もう一度使える家」に戻すのにいくらかかるのか、放置するとどうなるのか、大阪市の補助金はどこまで使えるのかを、工事をしている立場から順に書いていきます。

床と壁紙を張り替えている途中の室内(大阪市東住吉区矢田・施工中)
床と壁紙を替えるだけで、家の印象はここまで変わります(写真は施工中)。空き家の工事は「どこまで直すか」を先に決めると、費用のぶれが小さくなります
目次
  1. 空き家をそのままにすると、何が起きるか
  2. 固定資産税が「最大6倍」になる仕組み
  3. 直すか、壊すか、売るか
  4. 工事の前に、必ず見る6か所
  5. 空き家リノベーションの費用の目安
  6. 大阪市の空家利活用改修補助の使い方
  7. 近畿で空き家が多い地域と、対応エリア
  8. 相談から完成までの流れ
  9. よくある質問

空き家をそのままにすると、何が起きるか

家は、人が住まなくなった瞬間から傷み方が変わります。窓を開けない、水を流さない、気づく人がいない。この3つが重なると、住んでいる家の2〜3倍の速さで劣化が進むと感じています。私たちが空き家の下見で実際によく見るのは、次のような状態です。

  • 雨漏りに誰も気づかない。瓦のズレや棟板金の浮きは、住んでいれば天井のシミで分かります。空き家では数年気づかれず、天井板を外したら梁まで黒く腐っていた、ということが珍しくありません
  • 湿気がこもり、カビとシロアリが入る。閉め切った家は床下の湿気が抜けません。畳の裏が真っ白になり、土台や柱の根元にシロアリが入ります。シロアリは外から見えない場所から食べ始めます
  • 排水トラップの水が蒸発して、下水のにおいと虫が上がってくる。台所や洗面の排水管には、においを止めるために水がたまる部分があります。使わないと数か月で乾き、下水管と室内が直結した状態になります
  • 雨樋が落ち葉で詰まり、外壁を伝って水が流れる。詰まった雨樋からあふれた水は、外壁や基礎を濡らし続けます。外壁のひびから水が入り、内側の木を腐らせます
  • 庭木が伸びて、隣家や道路にはみ出す。近隣からの苦情は、自治体の「管理不全空家」の調査が入るきっかけになります

どれも、最初の1〜2年なら数万円で止められることばかりです。それが5年、10年と重なると、直す費用が桁ひとつ変わります。空き家の工事費を決めるいちばん大きな要因は、築年数ではなく「空いてから何年たったか」です。

固定資産税が「最大6倍」になる仕組み

家が建っている土地には、固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されています。200㎡以下の部分は課税標準が評価額の6分の1、それを超える部分は3分の1に軽減される制度です。古い家でも壊さずに置いておくと土地の税金が安いのは、この特例があるからです。

ところが2023年12月13日に施行された改正空家法で、この特例が外れる条件が広がりました。

  • 改正前: 倒壊のおそれがあるなど、よほど状態が悪い「特定空家」に指定され、勧告を受けた場合だけ特例が外れた
  • 改正後: 窓が割れている、壁が傷んでいる、庭木が伸び放題など、「このままだと特定空家になりそう」という段階の「管理不全空家」でも、勧告を受けると特例が外れる

特例が外れると、200㎡以下の土地では課税標準が6分の1から元に戻るので、土地の固定資産税の課税標準は最大6倍になります。実際の税額は土地の広さや評価額、都市計画税の扱いで変わり、自治体によっては「約4倍」と案内しているところもあります。評価額1,500万円の土地で、年3〜4万円だった税金が20万円前後になる計算です。

流れは「助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行」の順で、特例が外れるのは勧告の時点です。指導を受けた段階で直せば、勧告には進みません。「役所から手紙が来た」という時点でご相談いただければ、間に合うことがほとんどです。

直すか、壊すか、売るか

空き家の相談で最初に決めるのは、工事の内容ではなく「この家をどうしたいか」です。選択肢は大きく3つで、それぞれ向いている家が違います。

選択肢向いている家気をつけること
直して使う
(自分で住む・貸す・子どもに渡す)
骨組み(柱・梁・基礎)が生きている家。雨漏りがあっても数年以内のものどこまで直すかで費用が3倍変わる。最初に「住める状態」か「人に貸せる状態」かを決める
壊して更地にする柱や梁まで腐っている、建物が傾いている、ほぼ全面改修が必要な家木造30坪で解体費100万〜200万円程度。更地にすると住宅用地の特例が外れ、土地の税金が上がる。再建築できない土地なら二度と家が建たない
そのまま売る立地が良く、買い手が自分で直すことを前提にできる家傷んだままだと値が付かないか、解体費を差し引かれる。最低限の手直し(雨漏り止め・残置物撤去)だけで売れる価格が変わることがある

工事会社として正直に言うと、全部の空き家を直すべきだとは思っていません。柱まで腐った家に800万円かけるより、壊して土地を活かしたほうがいい場合もあります。ただ、その判断は外から見ただけではできません。「もう壊すしかない」と言われていた家の天井裏を見たら、梁はしっかりしていて、直せば十分使えたということも実際にあります。壊す前に一度、中を見させてください。

工事の前に、必ず見る6か所

空き家の見積りは、台所や壁紙を見る前に、見えない場所から順に確認します。ここを飛ばして内装だけきれいにすると、数年後に雨漏りやシロアリでやり直しになります。

  1. 屋根と雨樋。瓦のズレ、棟板金の浮き、スレートの割れ、雨樋の詰まり。空き家の工事で最初に止めるのは雨です。ここを直さないと、内装にかけたお金が全部むだになります
  2. 天井裏と壁の中の雨染み。天井板の一部を外して、梁や野地板が濡れていないか、腐っていないかを見ます。黒く変色していても、乾いていて硬ければ使えることが多いです
  3. 床下。床下点検口から、土台のシロアリ被害、湿気、基礎のひびを確認します。床がふかふかする部屋は、下地の腐りを疑います
  4. 給排水管。古い鉄管は内側がさびて詰まっていることがあります。通水して、水圧と排水の流れ、水漏れを確認します。管の引き直しが要るかどうかで、水回りの費用が大きく変わります
  5. 電気。契約アンペアと分電盤の状態、コンセントの数。築40年以上の家は、いまの生活に必要な回路が足りないことがよくあります
  6. 外壁とコーキング。外壁のひび、サイディングの継ぎ目のコーキングの切れ。ここから入った水が壁の中を腐らせます

この6か所を見てから、はじめて「どこまで直すか」の話ができます。現地調査は無料ですので、「見てもらってから決めたい」で構いません。

空き家リノベーションの費用の目安

まず、工事の範囲ごとの目安です。30坪(約100㎡)前後の木造戸建てを想定しています。ここに書く金額はあくまで平均的な目安で、建物の傷み方や土地の条件、残っている荷物の量によって上下します。同じ間取りの家でも、雨漏りを放っておいた家と、年に数回風を通していた家では、見積りが2倍違うことがあります。正確な金額は、上の6か所を見てからでないと出せません。

工事の範囲費用の目安内容
① 住める状態に戻す最低限50万〜150万円程度残置物の処分、清掃、畳・壁紙の張り替え、水道と電気の通水・通電確認、雨漏りの部分修理
② 水回り4点の入れ替え+内装300万〜600万円程度キッチン・浴室・トイレ・洗面の交換、床と壁紙の全面張り替え、給排水管の一部更新
③ ②+屋根・外壁の外まわり500万〜900万円程度②に加えて屋根の葺き替えまたはカバー工法、外壁塗装、雨樋の交換
④ 骨組みだけ残す全面改修1,000万〜1,800万円程度間取りの変更、耐震補強、断熱、給排水・電気の全面引き直しを含む

次に、工事ごとの目安です。屋根と外壁は当社の各サービスページで公開している相場と同じ数字です。

工事内容費用の目安
残置物(家具・家電・衣類)の処分10万〜50万円程度
雨漏りの部分修理5万〜45万円程度
屋根カバー工法60万〜150万円程度
屋根の葺き替え80万〜200万円程度
外壁塗装(30坪・足場込み)80万〜110万円程度
キッチンの交換50万〜150万円程度
在来浴室からユニットバスへの入れ替え80万〜150万円程度
トイレの交換(和式から洋式を含む)15万〜40万円程度
洗面台の交換20万〜50万円程度
壁紙の張り替え(6畳1室)4万〜8万円程度
床の張り替え(6畳1室・フローリング)10万〜25万円程度
給排水管の引き直し30万〜100万円程度
シロアリの駆除・予防10万〜30万円程度
耐震補強100万〜250万円程度
木造2階建ての解体(参考)100万〜200万円程度

見積りを見るときのコツをひとつ。「一式」とだけ書かれた項目が多い見積りは、現地をよく見ていない可能性があります。空き家は想定外が出やすいので、「床下の土台が腐っていた場合は別途◯万円」のように、追加になりうる条件を先に書いてある見積りのほうが、結果として安く終わります。

古い床を剥がし、土台の上に新しい根太を組み直している工事中の室内
内装をきれいにする前に、床を剥がして土台と床下を確認します。ここを飛ばすと数年後にやり直しになります

大阪市の空家利活用改修補助の使い方

大阪市には、空き家を直して使う人のための「空家利活用改修補助制度」があります。2026年度(令和8年度)の内容は次のとおりです。

補助の内容補助率上限額申請締切
インスペクション(既存住宅状況調査)2分の13万円/戸2026年12月28日
耐震診断11分の105万円/戸(1棟20万円)2026年12月28日
耐震改修設計3分の210万円/戸(1棟18万円)2026年12月28日
耐震改修工事2分の1115万円/戸2026年12月15日
性能向上に資する改修工事(住宅再生型)2分の175万円/戸2026年12月15日
地域まちづくりに資する改修工事(NPOなど向け)2分の1300万円2026年12月15日

対象になる家と人

  • 大阪市内にある、2000年(平成12年)5月31日以前に建てられた戸建てまたは長屋
  • 賃貸や売却の物件として市場に出ておらず、3か月以上空き家になっていること
  • 対象者は、空き家の所有者、その配偶者または親・子、これから取得する人、借りる予定の人
  • 改修後に一定の耐震性を確保すること。耐震性が足りなければ、耐震改修が条件になります
  • 売却を前提とした改修は対象外。利活用の事例として大阪市が公表することに同意が必要

いちばんの落とし穴:屋根・外壁だけでは使えず、着工後は申請できません

大阪市のページには「外壁改修工事や屋根改修工事のみを行う場合は、本補助制度の対象外です」と明記されています。対象になるのは、断熱や省エネ、バリアフリー、耐震といった「性能を上げる改修」で、屋根や外壁はそれと組み合わせた場合に全体の一部として見られます。

そして契約・着工の前に区役所との事前協議が必要です。工事をしてから「補助金が出ると聞いたのですが」とご相談をいただいても、もう申請できません。予算に達すると年度途中で受付が終わることもあります。使いたい場合は、見積りの段階でお伝えください。手続きの段取りからご一緒します。

大阪市以外の市町村にも、空き家バンクへの登録を条件にした改修補助や、耐震改修の補助がある自治体があります。制度は市町村ごとに違い、年度で変わりますので、工事の前にお住まいの自治体の窓口で確認してください。大阪のリフォーム補助金の記事に、屋根・外壁で使える制度と使えない制度をまとめています。

近畿で空き家が多い地域と、対応エリア

総務省の「住宅・土地統計調査」(2023年)によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%で過去最高です。近畿は全国でも空き家が多い地域で、府県別の空き家率は次のとおりです。

府県空き家率(2023年)全国順位
和歌山県21.2%1位(徳島県と同率)
奈良県14.6%32位
大阪府14.3%34位
兵庫県13.8%36位
京都府13.1%38位
滋賀県12.1%42位

大阪府内で見ると、空き家率が高いのは大阪市の南部・西部と、古い住宅地を抱える市です。

市区町村空き家率(2023年)
大阪市西成区25.9%
大阪市生野区22.8%
柏原市20.8%
大阪市中央区18.4%
大阪市東住吉区18.2%
大阪市旭区18.1%
大阪市港区18.0%
大阪市浪速区17.9%
大阪市大正区17.7%
守口市17.1%

当社の拠点は大阪市阿倍野区で、西成区・生野区・東住吉区はいずれも隣接または近隣の区です。長屋や築50年を超える木造住宅が多く、空き家の相談がいちばん多い地域でもあります。

空き家のリノベーションは、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・和歌山県・滋賀県の近畿全域に伺います。大阪府内は最短当日の現地確認が可能です。和歌山県や奈良県南部、兵庫県北部、京都府北部など、拠点から離れた地域は日程を調整して伺います。「実家が和歌山にあって、自分は大阪市内に住んでいる」というご相談も多く、そうした場合は写真を先に送っていただくと、現地に行く前に工事の方向性をお伝えできます。

相談から完成までの流れ

  1. 写真を送る、または電話。外観、室内、気になる場所の写真があれば、考えられる工事と費用の目安をメールでお返しします。お名前・電話番号の入力は不要です
  2. 現地調査(無料)。上の6か所を中心に、天井裏・床下まで見ます。1〜2時間ほどです。鍵の受け渡しや立ち会いの段取りは、遠方の方ともご相談して決めます
  3. 「どうしたいか」に合わせた見積り。住む・貸す・売るのどれかで、直す範囲が変わります。範囲の違う見積りを2〜3パターンお出しすることもできます
  4. 補助金の事前協議(使う場合)。大阪市の空家利活用改修補助は、契約前に区役所との協議が必要です。この段取りからご一緒します
  5. 残置物の処分と工事。水回りと内装で1〜2か月、屋根・外壁を含む全面改修で2〜4か月が目安です
  6. 完成・引き渡し。工事の前後の写真をお渡しします。貸す場合は、不動産会社に渡す資料としても使えます

よくある質問

相続した空き家が遠方にあり、現地に行けません。相談できますか?

できます。まずはお手元にある写真(外観・室内・気になる場所)をお問い合わせフォームから送っていただければ、考えられる工事の内容と費用の目安をメールでお返しします。現地調査は大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・滋賀の近畿全域に無料で伺います。ご本人が立ち会えない場合の段取りは、ご相談のうえで決めます。

直すより解体したほうが安いですか?

木造2階建て30坪前後の解体費は100万〜200万円程度が目安で、水回りと内装を直す費用より安く見えます。ただし更地にすると住宅用地の固定資産税の軽減(最大6分の1)が外れ、土地の税額が上がります。再建築できない土地なら、壊すと二度と家が建ちません。雨漏りを何年も放置して柱や梁まで腐っている、建物が傾いているという場合は解体が現実的ですが、骨組みが生きていれば直すほうが安く済むことが多いです。どちらが得かは現地を見ないと判断できませんので、壊す前に一度ご相談ください。

屋根と外壁だけ直したいのですが、大阪市の補助金は使えますか?

屋根や外壁の工事だけでは、大阪市の空家利活用改修補助の対象になりません。大阪市のページに「外壁改修工事や屋根改修工事のみを行う場合は対象外」と明記されています。省エネ性能や耐震性を上げる改修(断熱・耐震補強など)と組み合わせて初めて対象になり、しかも契約・着工の前に区役所との事前協議が必要です。先に工事をしてしまうと申請できませんので、補助金を使いたい場合は工事の前にお声がけください。

空き家の雨漏りや台風被害に火災保険は使えますか?

契約の内容次第です。人が住んでいない家は、火災保険の契約が切れていたり、住宅ではなく一般物件の扱いになっていたりすることがあるので、まず保険証券を確認してください。契約が生きていれば、台風や強風で壊れた部分は風災補償の対象になる可能性があります。一方、何年も放置して傷んだ部分は経年劣化とみなされ、対象外です。「保険で必ず無料になる」ということはありませんので、そう言う業者には注意してください。

工事にはどのくらいの期間がかかりますか?

水回りの入れ替えと内装の張り替えなら1〜2か月、屋根や外壁を含む全面的な改修なら2〜4か月が目安です。空き家は住みながらの工事ではないので、荷物の移動や生活への配慮がいらず、日程を組みやすいという利点があります。ただし残置物の処分や補助金の事前協議が入ると、着工までに1〜2か月かかることがあります。

「直すか壊すか決めかねている」「まず中がどうなっているか知りたい」という段階で構いません。キヨスホームは現地調査・お見積り無料、空き家のリノベーションは近畿全域に伺います。直さないほうがいいと判断すれば、そうお伝えします。遠方の方は、まず写真からお送りください。

お電話(090-8536-9397・9:00-19:00 年中無休)でご相談ください。

参考にした公的機関の情報