この記事の結論

  • 雨樋の掃除は周囲に樹木がある家で年1〜2回、そうでない家でも2〜3年に一度が目安です。
  • 数万円の掃除を先送りすると、数十万円の工事になります。あふれた水が外壁や基礎を傷めるためです。
  • 屋根に上がる作業は自分でやらないでください。地上から届く範囲だけが安全にできる範囲です。
  • 台風や強風で雨樋が壊れた場合は、火災保険の風災補償の対象になることがあります。

雨樋(あまどい)は、屋根に降った雨をまとめて地面の排水へ流すための部品です。地味な存在ですが、これが機能しなくなると、屋根から落ちた大量の水が外壁と基礎に直接かかり続けます。大雨シーズンの前に確認しておきたいポイントをまとめました。

落ち葉と土がたまって水があふれている住宅の雨樋
土がたまると草が生えます。ここまで来ると、雨のたびに外壁が濡らされ続けている状態です
目次
  1. 雨樋が果たしている役割
  2. つまり・あふれのサイン
  3. 放置すると起きる被害
  4. つまる・壊れる原因
  5. 自分でできる範囲と危険な作業
  6. 掃除・修理・交換の費用目安
  7. 火災保険が使えるケース
  8. よくある質問

雨樋が果たしている役割

屋根の面積が100㎡の家に1時間あたり50mmの雨(大雨警報級)が降ると、1時間で約5,000リットル、2リットルのペットボトル2,500本ぶんの水が屋根に落ちます。この水を軒先から一気に地面へ落とさず、決められた場所へ導いているのが雨樋です。

雨樋がなければ、屋根から落ちた水は次のような影響を与えます。

  • 外壁を直接濡らし、劣化を早める
  • 建物の周囲の地面を掘り、基礎まわりに水がたまる
  • 跳ね返った泥水が外壁の下部を汚す
  • 隣家との境界に水が流れ込む

つまり雨樋は「あれば便利」ではなく、建物を濡らさないための設備です。

つまり・あふれのサイン

次のような症状が出ていたら、雨樋が機能していない可能性があります。

  • 雨の日に、樋の途中から水があふれている — 最も分かりやすいサインです。雨の日に傘をさして外から見るのが確実な確認方法です
  • 雨の日に地面へ水が落ちる音がする — 継ぎ目が外れているか、あふれています
  • 外壁の一部だけ、縦に汚れの筋がついている — そこで水が流れ続けています
  • 樋の中から草が生えている — 土がたまっている証拠です
  • 樋がたわんでいる・波打っている — 水や土の重みで勾配が崩れ、水が流れなくなります
  • 金具が外れて樋が斜めになっている
  • 晴れの日でも樋に水が残っている — 勾配不良かつまりです
雨樋のつまりが外壁の劣化や雨漏りにつながる流れを示した図解
数万円の掃除を先送りすると、数十万円の雨漏り工事になります

放置すると起きる被害

雨樋のつまりは、それ自体よりそこから始まる二次被害が問題です。

  • 外壁からの雨漏り — あふれた水が外壁を濡らし続けると、シーリングの切れた目地やサッシまわりから浸入します。「大雨のときだけ雨漏りする」原因として実際によくあります(詳しくはこちら)
  • 軒天(のきてん)の腐り — 軒裏のボードが濡れて剥がれ、シミが出ます
  • 木部の腐朽・シロアリ — 常に湿っている場所はシロアリを呼びます
  • 基礎まわりの傷み — 建物際の地面が掘れ、基礎に水がかかり続けます
  • 外壁の塗膜の劣化が早まる — 水が当たり続ける部分だけ先に傷みます
  • 近隣トラブル — 境界側であふれると、隣家の敷地に水が入ります

雨樋の掃除は数万円で済みますが、そこから雨漏りに発展すると数十万円規模の工事になります。費用対効果が最も高いメンテナンスのひとつです。

つまる・壊れる原因

  • 落ち葉・土砂・苔 — 近くに樹木がある家では、数年で堆積します
  • 鳥の巣・ボール・ビニール袋 — 縦樋の入口(集水器)でせき止められます
  • 屋根材の破片 — スレートの塗膜片や、瓦のかけらがたまります
  • 勾配の狂い — 支持金具の緩み、たわみ、雪や強風による変形
  • 継ぎ目の外れ・割れ — 塩ビ樋は紫外線で硬くなり、20〜25年ほどで割れやすくなります
  • 台風・強風による破損 — 飛来物や倒木でひしゃげることがあります

自分でできる範囲と危険な作業

やっても比較的安全なこと

  • 地上から、または窓から樋の様子を見る(スマホのズームが便利です)
  • 雨の日に、外から水の流れを確認する(これが最も確実です)
  • 1階の低い位置の樋で、手が確実に届く範囲のゴミを取る
  • 縦樋の下部の出口まわりを掃除する

やってはいけないこと

  • 屋根に登って樋の掃除をする — 軒先は屋根で最も転落しやすい場所です。体を樋側へ乗り出す姿勢そのものが危険です
  • 脚立の上で身体を横に伸ばす — 脚立事故の典型パターンです。脚立は正面の作業にしか使えません
  • 2階の樋を自分で掃除する — 高さ6m前後からの転落は命に関わります
  • 樋を掴んで体重をかける — 樋は人の体重を支える強度がありません

年に一度の掃除でも、業者に依頼するほうが結果的に安全で確実です。屋根の点検とあわせて依頼すると効率的です。

掃除・修理・交換の費用目安

内容費用の目安
雨樋の清掃(1階中心・部分)5,000円〜2万円程度
雨樋の清掃(2階を含む全体)1万円〜5万円程度(高所作業車や足場が必要な場合は別途)
金具の交換・勾配の調整1万円〜5万円程度
部分交換(数メートル)3万円〜10万円程度
全交換(一般的な2階建て)15万円〜60万円程度(足場代を含む)

全交換で幅があるのは、足場の要否が大きいためです。そのため、外壁塗装や屋根工事で足場を組むタイミングに合わせて交換すると、足場代が一度で済みます。築20年を超えて樋の劣化が進んでいる場合は、この考え方が最も無駄がありません。

火災保険が使えるケース

状況火災保険(風災)の扱い
台風・強風で樋が外れた、変形した対象になる可能性があります
飛来物が当たって割れた対象になる可能性があります
雪の重みで壊れた雪災の補償があれば対象になる場合があります
落ち葉のつまり・経年劣化対象外です
掃除だけの費用対象外です

「掃除も保険でできます」と言ってくる訪問業者がいますが、つまりの掃除は自然災害ではありません。原因を偽って申請すれば保険金詐欺になり、契約者本人が責任を問われます。詳しくは「火災保険申請の流れと悪質業者への注意」をご覧ください。

よくある質問

雨樋の掃除はどのくらいの頻度で必要ですか?

周囲に樹木がある家は年1〜2回、そうでない家でも2〜3年に一度が目安です。梅雨前と台風シーズン前に確認しておくと安心です。

掃除だけの依頼でも来てもらえますか?

承っています。屋根の点検とあわせてご依頼いただくと、同じ訪問で確認できるため効率的です。現地確認とお見積りは無料です。

一部だけ交換すると、色が合わなくなりませんか?

既存の樋が退色しているため、新品と並ぶと色差が出ることがあります。目立つ面では、区間ごとにまとめて交換するご提案をする場合があります。

雨樋がなくても生活には困りませんが、直す必要はありますか?

あります。あふれた水は外壁や基礎まわりを濡らし続け、雨漏りや木部の腐りにつながります。数万円の処置を先送りして、数十万円の工事になるケースを実際に多く見ています。

雨樋が詰まっているときの対処法は?

手の届く1階部分であれば、落ち葉や土砂を取り除いて水を流し、流れるかどうかを確かめてください。2階以上は脚立作業になるため業者に依頼してください。毎年、脚立からの転落事故が起きています。詰まりを放置すると、あふれた水が外壁を伝って軒裏や基礎を傷めます。掃除だけのご依頼も承ります。

雨樋の詰まり・変形のご相談も承っています。屋根とあわせて無料で点検し、必要な工事だけをご提案します。

お電話(090-8536-9397・9:00-19:00 年中無休)でご相談ください。

参考にした公的機関の情報