この記事の結論
- 冬でも外壁塗装・屋根工事はできます。塗装ができないのは「気温5℃以下・湿度85%以上・結露しているとき」で、国土交通省の公共建築工事標準仕様書にもそう定められています。
- 大阪の12月は、日中の最高気温が平年で12℃前後、湿度は60%台。日中は条件を満たします。朝の霜・露が乾くのを待ち、夕方は早めに切り上げるのが冬の段取りです。
- 冬は日が短く(12月の大阪は日の出6時46分・日の入り16時47分)、塗料の乾燥に倍以上の時間がかかるため、工期は春や秋より2〜3日延びます。そのかわり降水量が少なく、台風もありません。
- 年内に終わらせるなら、外壁塗装は11月中旬、屋根のカバー工法・葺き替えは11月下旬、部分補修・雨樋・コーキングは12月中旬までのご相談が目安です。年末は12月27日前後から休工になります。
- 12月に入ってからの大きな工事は、年内に詰めるより年明けか、気温の安定する3月のほうが仕上がりは安定します。雨漏りは応急処置で年を越せます。
「年内に外壁をきれいにしておきたい」「冬に塗装して大丈夫なのか」。11月に入ると、こうしたご相談が増えます。年末に家族や親戚が集まる前に家の外観を整えたい方、秋の台風で傷んだ屋根を年内に直しておきたい方。どちらも、冬の工事に不安をお持ちです。
結論から言うと、冬でも塗装はできますし、屋根工事は塗装よりさらに季節の影響を受けません。ただし、冬ならではの段取りがあり、それを守らない工事は春に塗膜がはがれます。この記事では、塗装ができない条件、大阪の冬の実際の気温、冬の工事で何が変わるのか、そして年内に終わらせるための逆算スケジュールをまとめました。
目次
塗装ができない条件は「5℃以下・85%以上・結露」
塗装を「してはいけない天気」には、公的な基準があります。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)の塗装工事の章に、次の趣旨の規定があります。
- 気温が5℃以下のとき
- 湿度が85%以上のとき
- 換気が適切でなく結露するなど、塗料の乾燥に不適当なとき
この場合は原則として塗装を行わず、やむを得ず行うときは採暖・換気などの養生をする、と定められています。官庁の建物の工事に使う仕様書ですが、塗料メーカーの施工仕様書もこの数字をもとにしているため、住宅の塗装でも同じ基準で判断します。
なぜ5℃と85%なのか。塗料は、塗ったあとに水や溶剤が抜けて、樹脂が固まることで塗膜になります。気温が低いと固まるのが遅くなり、湿度が高いと水分が抜けません。固まりきらないうちに次の塗料を重ねると、あとから膨れ・はがれ・つやの消え(白化)が出ます。塗った直後はきれいに見えるので、問題が分かるのは翌年の春や夏です。
大事なのは、「冬だからダメ」ではなく「その日のその時間の気温と湿度」で決まるということです。冬でも、晴れた日の日中は条件を満たします。逆に、梅雨時の雨上がりは真夏でも湿度85%を超えます。
大阪の冬の気温と湿度は、条件を満たしているか
気象庁の大阪の平年値(1991〜2020年の30年平均)を、11月から3月まで並べます。
| 月 | 日最高気温 | 平均気温 | 日最低気温 | 月の降水量 | 平均湿度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10月(参考) | 23.7℃ | 19.5℃ | 16.0℃ | 136.0mm | 65% |
| 11月 | 17.8℃ | 13.8℃ | 10.2℃ | 72.5mm | 64% |
| 12月 | 12.3℃ | 8.7℃ | 5.3℃ | 55.5mm | 62% |
| 1月 | 9.7℃ | 6.2℃ | 3.0℃ | 47.0mm | 61% |
| 2月 | 10.5℃ | 6.6℃ | 3.2℃ | 60.5mm | 60% |
| 3月 | 14.2℃ | 9.9℃ | 6.0℃ | 103.1mm | 59% |
この表から分かることは3つです。
- 11月は、秋の延長です。日中18℃前後、最低でも10℃。塗装の条件を気にする必要はほとんどありません。
- 12月は、日中は塗れます。最高気温の平年値が12℃台で、湿度は62%。ただし日最低気温は5.3℃と、基準の5℃すれすれです。朝一番は塗らず、気温が上がってから始めます。
- 1月・2月は、朝が5℃を下回る日が多くなります。最低気温の平年値が3℃前後。日中は10℃前後まで上がるので塗れますが、作業できる時間が短くなり、工期の読みが難しくなります。
つまり大阪では、12月までは「段取り次第で春秋と同じ仕上がり」、1〜2月は「できるが、できれば3月まで待ちたい」というのが塗装の実感です。屋根の板金工事や葺き替えは塗料の乾燥がないので、1〜2月でも問題なく行えます。
なお、平年値はあくまで30年の平均です。寒波が入れば12月でも日中5℃を下回る日があり、逆に暖冬なら1月でも15℃になる日があります。現場では毎朝、温度計と湿度計で確認してから塗るかどうかを決めます。
冬の工事は、春や秋と何が違うか
気温が条件を満たしていても、冬は冬のやり方があります。違いは4つです。
1. 日が短く、塗れる時間が9時から15時台まで
国立天文台の暦によると、2026年12月の大阪は1日の日の出が6時46分、日の入りが16時47分。冬至の22日は日の出7時2分、日の入り16時52分です。6月の日の入りが19時台なので、2時間半ほど日が短い計算になります。
朝は気温が上がって露が乾くのを待ち、夕方は日が落ちる前に塗り終えて、乾く時間を確保します。すると実際に塗れるのは9時ごろから15時台まで。春や秋より1日あたり2時間ほど短くなります。
2. 乾燥に倍以上の時間がかかる
塗料の缶やカタログに書かれた乾燥時間は、気温23℃・湿度50%の標準状態(JIS K 5600-1-6)を基準にした数字です。気温が10℃を下回ると、水性塗料は水分が蒸発しにくくなり、2液型の塗料は硬化剤の反応が遅くなるため、乾燥に倍以上の時間がかかります。
外壁塗装は、下塗り・中塗り・上塗りの3回を、それぞれ乾かしてから重ねます。春秋なら午前に中塗り、午後に上塗りと進められる面が、冬は「今日は中塗りまで、上塗りは明日」になります。これが、冬の工期が2〜3日延びる理由です。縮めることはできません。
3. 朝の霜・露と、夕方の結露
冬の朝、外壁や屋根の表面は夜のあいだに冷えて、露や霜がついています。これが乾かないうちに塗ると、塗料の下に水の層ができて密着しません。また、夕方に塗った面は、夜に気温が下がると表面に結露して、つやが消えたり白く曇ったりします。仕様書が「結露するとき」を塗装不可にしているのはこのためです。
対策は単純で、朝は拭き取りと乾燥を待ってから、夕方は15時台で塗りを終えること。外壁の北面は日が当たらず乾きにくいので、北面を午前に塗らない、という順番の工夫もします。
4. 屋根は霜で滑る
屋根工事では、塗料より職人の安全のほうが先です。冬の朝の屋根は霜で滑りやすく、金属屋根はとくに危険です。霜が溶けて乾くまで屋根に上がらないので、屋根工事も作業開始は9時過ぎになります。
なお、冬に強い塗料もあります。2液型の塗料には冬用の硬化剤が用意されているものがあり、低温でも硬化が進むように調整されています。12月以降の塗装では、こうした塗料や硬化剤を使うのが一般的です。
冬に工事をする利点
冬には冬の利点があります。段取りを守る業者にとっては、むしろ工程の読みやすい季節です。
- 雨が少ない。大阪の月の降水量は、10月の136mmに対して12月は55.5mm、1月は47mm。雨で丸1日工事が止まる日が、秋の半分以下です。
- 湿度が低い。12月〜2月の平均湿度は60〜62%で、年間で最も低い時期です。湿度85%の基準に引っかかる日はほとんどありません。
- 台風がない。9〜10月は台風の進路しだいで足場のシートを畳んだり、工程が1週間ずれたりします。冬はこの心配がありません。
- 年末までに外観が整う。年末年始に家族が集まる前に塗り替えが終わると、気持ちよく新年を迎えられます。これを目標にされる方は多いです。
- 春の繁忙期を避けられる。3〜5月は塗装の予約が集まる時期です。冬に動くと、希望の日程が取りやすくなります。
要するに、冬は「塗れる時間が短いが、塗れない日が少ない」季節です。1日の作業量が減るぶんを工期に織り込んでおけば、仕上がりは春秋と変わりません。
年内に終わらせる逆算スケジュール
年内に工事を終えたい場合、ゴールから逆算します。ほとんどの工事業者は12月27日前後から1月5日前後まで休工になります。年内完了の実質的な期限は12月25日ごろです。
そこから、工事にかかる日数と、工事の前にかかる日数をさかのぼります。
| 段階 | かかる日数の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| ① ご相談・現地調査 | 3日〜1週間 | お電話か写真でご相談 → 現地で外壁・屋根を確認。調査・見積りは無料 |
| ② 見積り・ご検討 | 1〜2週間 | 見積書をお渡し → 相見積りや家族の相談を経てご契約。急がせません |
| ③ 契約〜着工 | 1〜2週間 | 足場の手配、塗料・屋根材の発注、近隣へのごあいさつ |
| ④ 工事 | 工事の種類で変わる(下の表) | 冬は予備日を2〜3日足す |
①〜③で、短くても3週間、ふつうは1か月ほどかかります。これに工事の日数を足したものが、「ご相談から完了まで」の期間です。
工事別の「年内に終わらせるための相談期限」
| 工事 | 工事の日数(冬の予備日込み) | 年内完了のご相談期限の目安 |
|---|---|---|
| 外壁塗装(30坪前後) | 2週間〜2週間半 | 11月中旬 |
| 外壁+屋根の塗装 | 2週間半〜3週間 | 11月上旬 |
| 屋根カバー工法 | 1週間〜10日 | 11月下旬 |
| 屋根の葺き替え | 10日〜2週間 | 11月中旬〜下旬 |
| ベランダ・屋上の防水 | 3日〜1週間 | 12月上旬 |
| 部分補修(板金・瓦の差し替え・雨樋・コーキング) | 1〜3日 | 12月中旬 |
目安は、30坪前後の戸建てで、足場が必要な工事を想定しています。外壁塗装を年内に終えるには、11月中旬までにご相談いただくのが現実的な線です。12月上旬には足場が組まれている必要があり、そこから逆算すると11月中に契約、11月中旬に現地調査、となります。
この表より遅れた場合、できないわけではありません。ただし、年内に間に合わせるために乾燥時間を削ったり、夕方遅くまで塗ったりする工事になるなら、それは春に不具合が出る工事です。間に合わないときは、正直に「年明けになります」とお伝えしています。
年内に詰めないほうがいい工事と、年を越しても困らない工事
「年内に」という希望はよく分かります。一方で、冬の工事で一番避けたいのは年末の納期に合わせて段取りを崩すことです。工事の種類ごとに、急ぐ価値があるかどうかを整理します。
| 状況 | おすすめの進め方 |
|---|---|
| 外壁の色あせ・チョーキング(白い粉)だけ | 急がなくて大丈夫。雨漏りにはまだ遠い段階。12月に入ってからのご相談なら、3月着工のほうが塗装の条件が安定します |
| 外壁のひび・コーキング切れから水が入っている | 部分補修だけ年内に。コーキングの打ち替えやひびの補修は1〜3日。塗装全体は年明けでも間に合います |
| 台風で瓦や板金がずれた・飛んだ | 年内に直す。冬の強風でさらに飛ぶ危険があります。板金の差し替えや瓦の補修は数日で終わります。火災保険の申請は3年以内が期限なので、年内に写真を残しておきます |
| 雨漏りしているが、本工事は大がかり | 応急処置で年を越す。冬は降水量が少ないので、養生と部分的な止水で年を越せることがほとんどです。葺き替えやカバー工法は年明けに落ち着いて |
| 屋根のカバー工法・葺き替え | 1〜2月でも問題なし。塗料の乾燥がないので、気温の影響は塗装ほどありません。霜の時間帯を避ければ、冬でも仕上がりは変わりません |
台風のあとに屋根がずれたままの家は、年内に直す価値があります。大阪の冬は12〜2月に北西の強い季節風が吹き、ゆるんだ瓦や板金はそこで飛びます。台風のあとの点検は台風の前と後の屋根チェックリストを、保険の流れは火災保険申請の流れをご覧ください。
冬の工事で失敗する3つのパターン
- 乾燥時間を削って塗り重ねる — 「年内に終わらせます」と約束した業者が、冬の乾燥時間を春秋と同じに見積もると、下の塗料が固まる前に次を重ねることになります。翌年の夏に、膨れやはがれとして出てきます。工程表で、1日に何回塗る予定かを確認してください。冬に1日で中塗りと上塗りの両方を終える予定は、要注意です
- 夕方遅くまで塗る — 日が落ちる直前に塗った面は、夜の結露でつやが消えます。冬の工事は15時台で塗りを切り上げるのが正しい段取りで、それを「サボっている」と見ないでください。日没まで塗っている現場のほうが心配です
- 「冬は閑散期だから安い」「年内契約なら値引き」で即決する — 季節で足場代や塗料代は変わりません。訪問営業の「今日だけ」「年内なら」は、考える時間を奪うための言い方です。手口は訪問営業の手口と断り方にまとめています。見積書は相見積もりの取り方の見方で比べてください
費用は季節で変わるのか
当社では、季節で金額を変えていません。足場代・塗料代・人件費は、冬でも夏でも同じだからです。冬に工期が2〜3日延びても、それは乾燥を待つ日で、職人の人数が増えるわけではありません。追加の費用はいただいていません。
費用の目安は、外壁塗装がシリコン系塗料・30坪で80万円〜110万円程度(足場・高圧洗浄・下地補修・シーリング打ち替えを含む)、屋根のカバー工法が60万円〜、葺き替えが80万円〜です(2026年時点)。詳しくは外壁塗装の費用相場と大阪の屋根修理の費用相場をご覧ください。
ひとつだけ、冬に向けてお伝えしたいことがあります。外壁と屋根の工事を別々の年にすると、足場代(30坪で20万円前後)が2回かかります。年内に外壁だけ、春に屋根だけ、と分けるより、どちらも傷んでいるなら同じ足場でまとめたほうが、合計は安くなります。年内にこだわるより、足場をまとめるほうが得なことが多い、というのが正直なところです。
よくある質問
冬に外壁塗装をしても大丈夫ですか?
大丈夫です。塗装ができないのは、気温5℃以下・湿度85%以上・結露しているときで、国土交通省の公共建築工事標準仕様書にもそう定められています。大阪の12月は日中の最高気温が平年で12℃前後、湿度も60%台なので、日中は条件を満たします。朝の霜や露が乾くのを待ち、夕方は早めに切り上げるという段取りを守れば、仕上がりは春や秋と変わりません。
年内に外壁塗装を終わらせるには、いつまでに相談すればいいですか?
30坪前後の戸建てなら、11月中旬までのご相談が目安です。現地調査と見積りに1〜2週間、契約から足場の手配に1〜2週間、工事に10日〜2週間に冬の予備日2〜3日を足すと、着工から完了まで約1か月半かかります。年末は12月27日前後から休工になるので、12月上旬には足場を組んでいる必要があります。12月に入ってからのご相談は、年明け1月か、気温の安定する3月の工事をおすすめしています。
冬は工期が長くなりますか?
春や秋より2〜3日長くなるとお考えください。理由は2つあります。12月の大阪は日の出が6時46分、日の入りが16時47分と日が短く、塗装の実作業は9時から15時台までになること。もうひとつは、塗料の乾燥時間が気温23℃を基準に決められていて、気温が10℃以下だと倍以上かかり、1日に進められる工程が減ることです。そのかわり冬は降水量が少なく台風もないので、雨で工程が崩れることは少なくなります。
冬は閑散期だから安くなる、と言われました。本当ですか?
当社では季節で金額を変えていません。足場代・塗料代・人件費は季節で変わらないからです。「冬だから特別に安くする」「年内の契約なら値引きする」と訪問してくる業者は、その場で契約を迫るための言い方であることが多く、注意が必要です。見積書の中身(塗布面積・塗料の品番・塗り回数・足場代)で比べてください。
雨漏りしています。年内に本格的な修理が間に合わない場合はどうすればいいですか?
まず応急処置で止水し、本工事は年明けに行う形で問題ありません。冬は降水量が少ないので、応急処置で年を越せることがほとんどです。部分的な板金補修や雨樋の修理、コーキングの打ち替えなど1〜3日で終わる工事は、12月中旬までのご相談なら年内に対応できることが多いです。葺き替えやカバー工法のような大きな工事を、年内に間に合わせるために工程を詰めるのはおすすめしません。
1月や2月に工事をするのと、3月まで待つのはどちらがいいですか?
塗装なら3月のほうが安定します。大阪の1月・2月は日最低気温の平年値が3℃前後で、朝の気温が5℃を下回る日が多く、作業できる時間がさらに短くなります。3月は最低気温が6℃、日照時間も増えます。屋根のカバー工法や葺き替え、板金や雨樋の修理は塗装ほど気温の影響を受けないので、1〜2月でも問題なく行えます。雨漏りが出ている場合は季節を待たず、まずご相談ください。
「年内に間に合うかどうか」の段階からご相談ください。外壁・屋根の状態を見て、年内に直すべきところと、春まで待ってよいところを分けてお伝えします。現地調査・お見積りは無料、大阪府内・関西圏へお伺いします。
お電話(090-8536-9397・9:00-19:00 年中無休)でご相談ください。
参考にした公的機関の情報
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」 —— 塗装工事の章の施工管理: 気温5℃以下・湿度85%以上・結露するなど乾燥に不適当な場合は原則として塗装を行わない
- 気象庁「大阪 平年値(年・月ごとの値)」 —— 1991〜2020年の月別の気温・降水量・湿度
- 国立天文台暦計算室「日の出入り@大阪 2026年12月」 —— 12月1日と冬至の日の出・日の入り時刻
- JIS K 5600-1-6「塗料一般試験方法 養生並びに試験の温度及び湿度」 —— 標準状態は温度23±2℃・相対湿度50±5%