この記事の結論

  • 冬に家が寒い原因の多くは、窓です。暖房で温めた熱のうち、約58%は窓などの開口部から逃げています。外壁からは15%、床は7%、屋根は5%です。
  • 日本の住宅の約3割は断熱材が入っておらず、現行の断熱基準を満たす家は約1割(国土交通省の推計)。大阪の戸建ても例外ではなく、冬の居間の平均室温は全国調査で16.8℃、寝室・脱衣所は13℃前後です。WHOは冬の室温18℃以上を勧めています。
  • 直す順番は、窓→天井→床→壁。効果が大きくて安い順です。内窓は1か所8万〜18万円・工事1〜2時間、天井の断熱材の敷き増しは10万〜30万円、床下の断熱は20万〜50万円が目安です。
  • 家全体を一度にやる必要はありません。居間・寝室・脱衣所の3か所の窓から始める「部分断熱」で、冬の暮らしは変わります。
  • 先進的窓リノベ2026事業は1戸あたり上限100万円。申請予約は2026年11月16日、申請は12月31日までで、年内に使うなら10月中〜11月上旬のご相談が目安です。

「暖房を付けているのに足元が寒い」「朝、窓ガラスが結露でびっしょり」「居間は暖かいのに廊下やトイレが冷蔵庫みたい」。11月に入ると、こうしたご相談が増えます。多くの方が「古い家だから仕方ない」「大阪は雪国じゃないし」とあきらめておられますが、家の寒さには原因があり、原因の多くは窓です。

この記事では、なぜ日本の家、とくに大阪の家が寒いのか、熱はどこから逃げているのか、断熱リフォームはどこから手を付けるべきか、費用はいくらか、そして2026年に使える補助金の期限までをまとめました。寒さは我慢するものではなく、直せるものです。

冬の朝、結露した引違い窓の内側に白い内窓を取り付けている職人。窓の外は冬の光
暖房の熱の約58%は窓から逃げます。内窓は1か所1〜2時間で付き、窓際の冷気と結露がその日から変わります
目次
  1. なぜ日本の家は寒いのか——大阪も例外ではない
  2. 熱はどこから逃げているか——58%は窓
  3. こんな症状は断熱不足のサイン(セルフチェック)
  4. 寒い家は、血圧に出る
  5. 断熱リフォームの順番と費用——窓→天井→床→壁
  6. 窓の直し方は3つ——内窓・ガラス交換・外窓交換
  7. 2026年に使える補助金と、年内の期限
  8. 効かない対策・やってはいけないこと
  9. よくある質問

なぜ日本の家は寒いのか——大阪も例外ではない

国土交通省の推計では、日本にある約5,000万戸の住宅のうち、約3割は断熱材がまったく入っていない「無断熱」で、現行の断熱基準(断熱等級4)を満たしている家は約1割しかありません。残りの6割は、昭和55年や平成4年の古い基準で建てられた「断熱材は入っているが薄い」家です。

これは全国の数字ですが、大阪はむしろ悪いほうだと感じています。理由は単純で、雪が降らないから断熱が後回しにされてきたのです。北海道や東北の家は、断熱をしないと暮らせないので早くから厚い断熱材と二重サッシが当たり前でした。大阪では「冬は少し我慢すればいい」で済まされ、1枚ガラスのアルミサッシの家が今も大量に残っています。

しかし気象庁の平年値を見ると、大阪の1月は日最高気温9.7℃、平均気温6.2℃、日最低気温3.0℃。2月も最低気温は3.2℃です。外が3℃の朝、無断熱の家の寝室は10℃を切ります。雪は降らなくても、家の中は十分に寒いのです。

2025年4月から、新しく建てる住宅にはすべて断熱の基準(省エネ基準)を満たすことが義務になりました。ただし、これはこれから建てる家の話です。今お住まいの家の寒さは、ご自身で直さない限り変わりません。

熱はどこから逃げているか——58%は窓

冬に暖房で温めた空気の熱は、家のどこから外へ逃げているのか。日本建材・住宅設備産業協会がまとめた内訳があります。

逃げる場所冬の暖房時に逃げる熱の割合
窓・ドアなどの開口部58%
換気15%
外壁15%
床7%
屋根5%

半分以上が窓です。理由は、ガラスは壁に比べて圧倒的に熱を通しやすいからです。断熱材の入った壁に比べて、1枚ガラスのアルミサッシは10倍前後の熱を通します。家の中でいちばん薄くて、いちばん熱が逃げる場所が窓なのです。

これは、ご自宅で確かめられます。冬の朝、窓ガラスとサッシの枠に結露が付いているなら、そこで室内の暖かい空気が冷やされている証拠です。手をかざすと窓から冷気が落ちてくるのが分かります。この冷気が床をはって足元に溜まるのが、「暖房を付けても足元が寒い」の正体です(コールドドラフトといいます)。

逆に言えば、窓を直せば、逃げる熱の半分以上に手を打てるということです。外壁や屋根の断熱は大工事になりますが、窓は1か所1〜2時間で直せます。断熱リフォームが窓から始まる理由はここにあります。

こんな症状は断熱不足のサイン(セルフチェック)

ご自宅に当てはまるものにチェックを入れてみてください。3つ以上当てはまる家は、窓の断熱で冬の暮らしがはっきり変わります。

家の寒さセルフチェック

押すと、この下の相談フォームにチェック内容が下書きとして入ります。お名前・お電話番号は不要です。

温度計を1つ置くと、感覚ではなく数字で分かります。目安は2つ。朝起きたときの寝室が10℃以下なら断熱が足りていません。居間と脱衣所の温度差が5℃以上あるなら、部屋ごとの寒暖差が体に負担をかけています。

お電話(090-8536-9397・9:00-19:00 年中無休)でご相談ください。

寒い家は、血圧に出る

家の寒さは、光熱費と我慢の問題だと思われがちですが、体に出ます。

WHO(世界保健機関)は2018年の「住まいと健康に関するガイドライン」で、寒い季節の室温は18℃以上に保つことを勧めています。寒さは血管を縮めて血圧を上げ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるためです。

ところが国土交通省が全国約2,000軒の住宅で冬の室温を実測した調査では、居間の平均室温は16.8℃、寝室は12.8℃、脱衣所は12.8℃でした。日本の家は、いちばん暖かい居間でもWHOの基準に届いていません。

同じ調査で分かったことが2つあります。

  • 断熱改修をすると、起床時の最高血圧が平均3.1mmHg下がった。高齢の方や高血圧で通院中の方ほど、下がり幅が大きい傾向でした。
  • 室温が20℃から10℃に下がると、30歳の男性では血圧が3.8mmHg上がるのに対し、80歳の男性では10.2mmHg上がる。年をとるほど、寒さが血圧に効きます。

とくに危ないのが、暖かい居間と寒い脱衣所・浴室の温度差です。服を脱いで寒い脱衣所に立ち、熱い湯に入る。この間に血圧が急に上がって下がり、浴槽で意識を失う事故が、毎年冬に起きています。浴室の寒さについては浴室が寒いのはヒートショックの危険信号に、事故の数字と対策をまとめました。

冬の暖房時に家から逃げる熱の内訳の図解。窓58%・換気15%・外壁15%・床7%・屋根5%
逃げる熱の半分以上は窓から。だから断熱リフォームは窓から始めます(出典: 日本建材・住宅設備産業協会)

断熱リフォームの順番と費用——窓→天井→床→壁

「断熱リフォーム」と聞くと、家をまるごと包み直す数百万円の工事を想像される方が多いのですが、順番を間違えなければ、10万円台から効果が出ます。当社がおすすめしている順番と、その理由です。

順番工事費用の目安工期この順番の理由
1窓(内窓・ガラス交換・外窓交換)内窓 1か所 8万〜18万円程度1か所 1〜2時間逃げる熱の58%。安く、早く、補助金もある
2天井(小屋裏に断熱材を敷き増し)10万〜30万円程度1〜2日小屋裏から施工でき、家を壊さない。夏の2階の暑さにも効く
3床(床下に断熱材を追加)20万〜50万円程度1〜3日床下から施工できる。足元の冷えに直接効く
4壁(1部屋を内側から)20万〜40万円程度/部屋3〜5日内装をはがすので最後。外壁の塗り替え時期と合わせると無駄がない

目安は大阪の30坪前後の戸建てで、2026年時点の当社の価格帯です。建物の状態や製品で変わります。

なぜこの順番か

判断の基準は「効果 ÷ 費用」と「家を壊さずにできるか」の2つです。窓は逃げる熱の半分以上を占めるのに、1か所数時間で終わります。天井と床は、小屋裏や床下という「見えない場所」から施工できるので、暮らしながら工事できます。壁は、内装をはがして断熱材を入れ直すか、外壁を張り替えるかになるので、どうしても大がかりです。

一方で、「壁から」始める断熱リフォームの提案を見かけることがあります。工事の金額が大きいからです。窓がまだ1枚ガラスのままなら、壁に数百万円かけても窓から熱が逃げ続けます。順番を飛ばさないでください。

家全体をやらなくていい——「部分断熱」という考え方

家中の窓を全部直し、天井も床も壁もやると、30坪の家で300万〜500万円はかかります。それができる方はよいのですが、多くの方は「それなら今年もやめておく」になってしまいます。

当社がおすすめしているのは、長くいる部屋から直すやり方です。

  • 居間 —— 1日でいちばん長くいる場所。窓の数も多い
  • 寝室 —— 朝いちばん冷える場所。起床時の血圧に直結する
  • 脱衣所・浴室 —— 温度差がいちばん危ない場所。窓は小さいので費用は小さい

この3か所の窓に内窓を付けると、窓4〜6か所で40万〜80万円程度。補助金を使えば、自己負担はその半分前後になることが多いです。ここまでやってから、天井や床を翌年以降に、という進め方で構いません。寒さ対策は、一度に完璧を目指すより、今年の冬に間に合わせるほうが大事です。

窓の直し方は3つ——内窓・ガラス交換・外窓交換

窓の断熱には3つの方法があります。それぞれ向き不向きがあります。

方法やること費用の目安(1か所)向いている家
内窓(二重窓)今の窓の内側に、もう1つ窓を付ける8万〜18万円程度ほとんどの家。今の窓はそのまま。断熱・結露・防音にいちばん効く
ガラス交換サッシは残し、ガラスだけ複層ガラスに替える5万〜10万円程度サッシが比較的新しく、内窓を付ける奥行きがない窓
外窓交換(カバー工法)今のサッシの枠を残し、上から新しいサッシをかぶせる15万〜35万円程度サッシ自体が古くて開け閉めが重い、すき間風が入る窓

迷ったら内窓です。理由は3つ。今の窓とのあいだに空気の層ができるので断熱の効果がいちばん大きい、工事が1〜2時間で済む、そして補助金の対象製品が豊富だからです。欠点は、窓の開け閉めが2回になること。毎日何度も出入りする掃き出し窓では、少し面倒に感じる方もおられます。

ガラス交換は、アルミのサッシが残るので、サッシの枠の結露は止まりません。内窓を付ける奥行き(7cm前後)が窓枠にない場合の選択肢です。外窓交換は、サッシが古くて開け閉めに支障がある窓に。費用は上がりますが、窓そのものが新しくなります。

2026年に使える補助金と、年内の期限

窓の断熱には、2026年は手厚い補助があります。使えるのは主に3つです。

制度内容期限(2026年)
先進的窓リノベ2026事業(環境省)内窓・ガラス交換・外窓交換・ドア交換が対象。1戸あたり上限100万円。補助額は窓の大きさと性能で決まり、合計5万円以上が条件申請予約は11月16日、交付申請は12月31日まで。2025年11月28日以降に着手した工事が対象
大阪市 住宅等の脱炭素化促進事業補助金(上乗せ)上の窓リノベの交付決定を受けた方に、大阪市が窓の費用の3分の1(上限10万円)を上乗せ大阪市の予算がなくなり次第終了
みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)居間などの窓の断熱を必ず含めたうえで、天井・床・壁の断熱や浴室の設備を組み合わせる。上限は家の建った年と改修後の性能で40万〜100万円申請予約は11月16日、交付申請は12月31日まで

2026年10月16日時点で、先進的窓リノベ2026事業の予算の使用率は約29%と公式サイトに出ています。まだ余裕はありますが、申請は年末に向けて集中します。予算の上限に達した時点で、期限の前でも受付が終わります。

年内に補助金を使うための逆算

申請予約には、工事請負契約を結んでいることが必要です。そこから逆算すると、次のようになります。

段階かかる日数の目安
① ご相談・現地調査(窓の寸法を測る)3日〜1週間
② 見積り・補助額の試算・ご検討1〜2週間
③ ご契約 → 申請予約(11月16日まで)数日
④ 製品の発注・工事発注から2〜4週間、工事は1日
⑤ 工事完了 → 交付申請(12月31日まで)—

10月中から11月上旬のご相談が、年内に補助金を使える現実的な線です。申請は、事業に登録した施工業者が行います。業者がこの事業に登録しているかどうかを、最初に確認してください。当社では見積りの段階で、対象になる製品かどうかと補助額の試算を一緒にお出しします。制度の最終的な判断は、各事業の事務局が行います。

大阪市の省エネ改修の補助や、介護保険の住宅改修費との組み合わせについては、大阪のリフォーム補助金【2026年版】にまとめています。補助の対象は「家の性能を上げる工事」で、塗装や修繕は対象外、という線引きは窓でも同じです。

効かない対策・やってはいけないこと

  • 断熱塗料・遮熱塗料で冬の寒さ対策をする —— 塗膜は1mmにも満たず、断熱材の代わりにはなりません。遮熱塗料は夏に屋根の表面温度を下げるもので、冬は効きません。大阪市の省エネ改修補助も国のみらいエコ住宅2026事業も、塗装は対象外と明記しています。夏の暑さ対策としての塗料の効果と限界は2階の暑さは屋根が原因かもしれませんに書きました
  • 窓をふさぐ・小さくする —— 熱は逃げなくなりますが、日射も入らなくなります。大阪の冬は晴れの日が多く、南の窓から入る日射は無料の暖房です。ふさぐのではなく、内窓で「日射は入れて、熱は逃がさない」が正解です
  • すき間をふさいで、換気を止める —— すき間風を止めるのは正しいのですが、24時間換気まで止めると、結露・カビ・一酸化炭素の問題が出ます。換気は15%の熱損失と引き換えに、空気を守っています
  • プチプチ(緩衝材)や断熱シートで我慢し続ける —— 応急処置としては悪くありません。ただ、効果は内窓の数分の1で、毎年貼り替えが要ります。「今年はこれで、来年こそ内窓を」のつもりが5年続いている方が多いです
  • 「今だけ補助金で実質無料」の訪問営業に即決する —— 補助金は定額で、工事費が無料になる制度ではありません。その場で契約を迫る業者の手口は訪問営業の手口と断り方に、見積りの比べ方は相見積もりの取り方にまとめています

よくある質問

内窓を付けるだけで、本当に暖かくなりますか?

窓際の冷気と結露は、はっきり変わります。暖房の熱の約58%は窓などの開口部から逃げているので、そこをふさぐのが一番効きます。ただし室温そのものが一気に5℃上がるような変化ではなく、「暖房を止めてもすぐ冷えない」「窓のそばに座っても足元がスースーしない」という変化です。効果を感じやすいのは、長くいる居間と、朝いちばん冷える寝室の窓です。

断熱リフォームは、家全体でやらないと意味がないですか?

いいえ。長くいる部屋から順に直す「部分断熱」で十分に効果があります。居間・寝室・脱衣所の3か所の窓に内窓を付けるだけでも、冬の暮らしは変わります。家全体を一度にやろうとすると数百万円になり、結局手を付けられないことが多いので、当社は窓→天井→床→壁の順に、予算に合わせて分けて進めることをおすすめしています。

大阪は雪も降らないのに、断熱は必要ですか?

必要です。気象庁の平年値で大阪の1月は日最低気温3.0℃、平均気温6.2℃です。雪国ほど寒くないぶん、大阪の家は断熱が後回しにされてきました。全国調査では冬の居間の平均室温は16.8℃、寝室と脱衣所は13℃前後で、WHOが勧める18℃に居間でも届いていません。2025年4月から新築には断熱の基準が義務になりましたが、すでに建っている家には関係がないので、自分で直すしかありません。

断熱塗料や遮熱塗料で、冬の寒さ対策になりますか?

冬の寒さ対策にはなりません。塗膜は1mmにも満たない厚さで、断熱材の代わりにはならないからです。遮熱塗料は夏に屋根の表面温度を下げるためのもので、冬は効きません。大阪市の省エネ改修補助も国のみらいエコ住宅2026事業も、塗装工事は補助の対象外と明記しています。「断熱塗料で補助金が出る」という訪問営業の話は成り立ちません。

補助金を年内に使うには、いつまでに相談すればいいですか?

先進的窓リノベ2026事業は、交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日まで、交付申請が12月31日までです。予約には工事請負契約が必要なので、現地調査と見積りに1〜2週間、ご検討と契約に1〜2週間を見ると、10月中から11月上旬のご相談が目安です。2026年10月16日時点の予算の使用率は約29%で、まだ余裕はありますが、年末に向けて申請が集中します。

工事中は家にいられますか?

内窓の取り付けは1か所1〜2時間、在宅のまま終わります。天井の断熱材の敷き増しは小屋裏から、床の断熱は床下から入るので、1〜3日、家にいながら工事できます。壁の断熱は内装をはがすので、その部屋だけ3〜5日使えなくなります。家を空ける必要があるのは、外壁全体の断熱改修のように大がかりな工事だけです。

「どの窓から直せばいいか」「補助金はいくら戻るか」の段階からご相談ください。窓の寸法を測り、効果の大きい順と補助額の試算をお出しします。現地調査・お見積りは無料、大阪府内・関西圏へお伺いします。

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参考にした公的機関の情報